Saturday, 22 February 2014

"Between Worlds" by Nasirun

2月10日から14日、茂木さんの飛鳥II乗船おみおくり、
また、シンガポール国立大学の田谷さんをたずねて、シンガポールへいった。


シンガポール・ビエンナーレで見た作品『Between Worlds』by Nasirun.

ここの部屋から見よう、という感じで入ってすぐ、右側を向いたら、
もう一つの部屋がぱっくりとむかえていて、その一番奥に、
透明な、照明を受けて輝く、おおきなガラスの寺院のようなものがあった。
その前にいくつかの作品があって、それも無視できないけれど、
わぁぁ・・あそこに早く行ってみたい、そんな気持ちでどきどきした。

徐々に近づく。
全てが透き通った、ガラスの質感、光ファイバーかなんかで、下から照らされた、
透明の色んな色の質感。
その寺院のようなものは、とにかくなんだか、たくさんの透明のものからなっている。
プラスチック板のような透明のものでできた薄い、
カラフルな紙人形のようなものが、ビーカーやフラスコなどのガラスの瓶に閉じ込められている。
神様たち?妖怪たち?

"Nasirun has placed a cast of imaginary characters."
説明書きの最初にそう書いてあって、それだけ読んだ。

想像上の生き物たち。

心の中を見るみたいだな、と思った。

見とれていたら、
植田君がやっぱり見とれた顔で、「ゲーテ、思い出しちゃったねえ」といった。
「人工物はガラス瓶の中。」

うん、わかる、でも、なんか明らかに、インドネシアのあたりの、神様のような、生き物。
それが、化学の実験に使われるようなガラス瓶におさまっている。
ひょっとして、私の中の神様も、こんな風に、普遍性を獲得することができるの?

いままで、極めて東洋的で、あらわしようのなかった、何かを、
そのままで素晴らしいじゃないか、といわれた気持ちがした。

西洋の人がキュレーションをしたときの「アジア」とは、全然違う、成立の仕方をしていた。

一つひとつはガラス瓶の中。隔離されて、いくつもの世界が同時にある。
交わらない、だけど全部ある。
「生き生きとした」「標本」。
その全部が一つの寺院を作ってる。

心の中に、こういう寺院が造れたら、それだけでいいな、と思った。
私の中で生きている、大事なものを集めていって、いつかこんな素敵な寺院ができたら、いいな。
それをこうして見せられて、私みたいに、虫が光に集まるように、人がすいよせられることがあるなら、
本当にすごいな。

シンガポールって、なんだかすごかった。まさに、この作品みたいだった。
この作品の作者は、インドネシアの方なのだけれども。
シンガポールは、アジアの中の、ニューヨークみたいで、
色んな国のアジア人がいて、何処の誰でも気にしない。
すごく呼吸がしやすかった。
体格が比較的、西洋の人みたいにがっちりしていて、すっごく勢いがあって、
また、ひとつの見方では「人工的」な国なのかも知れないけれども、
レストランの人も、入国審査の人も、ホテルの人も、街で話しかけてきた人も、
不思議とみんなおおらかな南国的な笑顔を向けてくれて、なんだか、自分自身に安心しているように見えた。
私は、自分の中のアジアを育てていこう。
そう思った。





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