Monday, 10 June 2019
生花の記憶
生花の記憶
四月にハワイ島にいったとき
はじめて生花のレイをかけてもらった。
昔の映画をみると、
飛行機のタラップから降りてくると
現地の方がひとりひとりにレイをかけているけれど、
観光客がこんなにも増えた今
そんな習慣は不可能になっている。
しかし今回は、
わたしの習っているフラの先生と一緒だったから、
先生のお知り合いが空港でまっていて、
わたしにまでレイを用意して歓迎してくださったのだ。
人生初のレイはプルメリアで作られていた。
なんていい匂いなんだろう。
生花を首にかけているわけだから
当たり前かもしれないけれど、
夢の中にいるのでは、というほど
ずうっと香っている。
香水のもとが自分の首にあるわけである。
自分の体の熱で花が萎れてしまうのでは、
と手で触るのがこわい。
朝自分で状態のいい花を選んでつんで、糸に連ねていった、
下手だけど、思いはこもっているわよ、とその人はいった。
花は葉っぱでこすれても茶色くなってしまうから、綺麗な花をレイにするほど咲かせるには
いつも手入れが必要だ。
朝咲くもの、夜咲くもの、時期もある。
それをハワイのひとたちは、
毎日髪にさしたり、
友達にプレゼントしたり、
とびっきりのおしゃれにはかかせないものとして楽しんでいる。
メリーモナーク(陽気な王様)という、
野蛮なものとして禁止されて滅びる寸前だったフラを復活させたカラカウア王は、
好奇心いっぱいの、陽気な王様で、
彼を祝福する祭りとして50年以上前に
はじまった年一度のフラの祭典。
フラのオリンピックともいわれるほど、
ハワイの人たちが盛り上がるお祭りで
前夜祭含めて四晩つづく。
わたしはこれをみにいったのだった。
そこに来ている人たちは、
とびっきりのハワイアンドレスをきて、
とびっきりの生花飾りを身につけて、
あの人のあれ素敵ね、とファッションで競い合う。
会場は、だから、スタジアム満員の人の
生花の香りで、夢のようなのだった。
生花飾りひとつ、自分に身につけるということは、
どうやったら美しいか、
植物の選び方、編み方
育て方、
萎れないようにする工夫、
萎れてからの対処、
というように、
自然との付き合いかたを教え、
自然への愛情を深く育むことになるんだなあ、
と感じた。
メリーモナークのあいだ、
日中その街中をパレードが出るのだけれど、
そのパレードには、大地(aina)を大切に、というメッセージをかかげた人がたくさんいた。
今つつじや、たちあおいが本当に綺麗で、
あっとおもって、一輪拝借、
頭にさしてでかけるなんてことは
今の日本でわたしにはできそうもない。
子供だったらかわいいというのはなんで?
欲望に素直になって、それを磨くということしていきたい。
舞台で踊るひとたちは底抜けに
明るく、
この明るさを忘れまい、
と心に決めた旅だった。
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