サントリー美術館で『御伽草子』を見た。
短い短い物語。
例えば。
ある人が、鬼に、女の人を紹介してもらう。
100日間その女の人に手出ししなかったら、彼のものになるという。
でも、彼は80日間で我慢できなくて手を出してしまう。
女の人は、水になって流れていってしまった。
(『長谷雄草子』写真はwikipediaより拝借)
また、例えば。
鼠が人間の女の人と結婚して幸せに暮らしているが、
ある時、鼠だということがばれてしまう。
女の人は出て行って、
鼠の夫は、彼女が残していった一つひとつの物を見て、さめざめと泣く。
(『鼠草子絵巻』
写真が見つからなかったので、展覧会の図録から。
布団や、鏡や、櫛なんかが一個ずつ描かれてとってもかわいいのだ。)
水になって流れて行ってしまう場面や、
一つひとつの物を目の前に、泣いている場面は、
もう、それだけで良い、というような感じだった。
私は短い物語が好きだ。
人生のとても大切な出来事は、ささやかなほんとに一瞬の出来事であったりするからだ。
長い長い文脈に支えられた一瞬。
一瞬から想像される長い長い文脈というのもあるということだ。
自分の身近な人の。
すぐ側の物語。
繰り返し繰り返し語り継がれて、
ふっと優しく笑ってしまうような、
ふっくらとした姿になった、
短い短い物語。
これを見てから、岩波の御伽草子を買って、手放せない。
「御伽」は「人生のつれづれを慰める話し相手」という意であるらしい。
私は、そういうことをやりたいんだなあ。
Saturday, 20 October 2012
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3 comments:
80日も待ったのに、、なあ、この人の表情...!なんだかたまらないな。どうして門には鬼がいるんだろう。この絵が目に入った時,あー
”There is also a man.”だと感じられて。
これは見に行かなきゃ。あした行きます。楽しみができた!
Konoさん、あわわ、すいません。
長谷雄草子は展示替えになってしまったのですが、
是非いってみてください!!
ひい、そんなー。
でもいいです、いってきます。
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