昨日、授業の帰り、伏見で降りて、なんとなく名古屋市美術館によった。
地下の小さな部屋で『毛深き人たち』とかいう展示がやっていた。
ゴリラの展示である。
展示といっても、ゴリラの写真と名前があるだけ。
このゴリラはどこで暮らした、そういう紹介があるだけ。
写真といっても模造紙みたいな紙への印刷。
なんだろう?呆然とした気持ちで奥へすすんだ。
ビデオの部屋があった。
繰り返し繰り返しエンドレスに流れているから
途中からみることになった。
ゴリラが何か金属製のものにやるきなくよじ登ろうとしている。
ゆっくり手をかけてははずし、足をかけては、立ち止まる。
その進み具合ったらあくびが出るほど遅く、
私は重い荷物でくたくただったから、少しでも座っていたくてそのビデオの前にいる、という感じだった。
そのうち突然彼はバタンっとおおきな音を立てて地面に落下した。
重力になんの抵抗もしていないように見えるほどに、
おおきな音を立てて受け身も取らずに、ばたりと落ちる。
落ちては、痛みの声もあげずに、その落ちたままの姿でぴくりとも動かない。
なんなんだこの映像は、ゴリラってなんかすごい、
おかしさがこみあげてきた。
また、静止画と区別がつかない感じでのぼりはじめる、
そして
ばたりと落ちる。物のように落ちる。
そのまま動かない。
の繰り返し。
しばらくして、字幕が入った。
「ゴンはもう一度彼の定位置である棚の一番上に座りたかった。」
笑った口元が自分で悲しかった。
「崩落を繰り返し、二日後彼は死んだ。」
「ゴンは最後まで生きた。」
それで終わった。そういう映像だった。
途端にさっきの模造紙写真がなんだか遺影のように見えてきて、
途端に一人一人の区別が私についてきて、
ああ、毛深き人たち、そのタイトルをつけた気持ちがわかったような気がした。
Thursday, 6 October 2011
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