Sunday 11 February 2007

ある晴れた日に

お昼ごろ、山手線に乗っていたら、
目の前に座っていたおじさんが、
深刻な顔をして何事か考え事をしていた。
頭を抱えて、ポツリとつぶやき、しばらく考え込み、隣の人の顔を見て、
何事か耳打ちし、うなずき、遠くのほうを見てまた頭を抱える。
しかし時には冗談を言って、一瞬緊張を解いた後
また元の話に戻っていくようだった。

だけど、おかしなことは、その人の隣には誰も座っていなかったこと、
それから、私の耳を幾度となく疑ったけど、その人の口からは音が何も発せられてないことだった。
筋肉の動きからして、隣が空席なこと、声がでていないことを信じる方が難しかった。

その人は多分ホームレスの人だった。
となりはずっと空席だった。
私のよく知っている人に似ていて
太陽は窓からさんさんと降り注ぐし、
動悸がおさまらなかった。

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