北の太陽の光というのは、ものごとをなんとも薄く、白く、してしまうようなところがある。
空港からホテルに直行して、荷物を置いてすぐ、外を歩いてみる。
夕方の4時。夏だというのに、寒い。
日本で言うと、ちょうど、お花見の季節くらいの気温。
ずっと外にいるのにはコートがいる。
フィンランドに来る直前に、藝大美術館でやっている、
フィンランドの作家ヘレン・シャルフベック展を見ていた。
こういう灰色、こういう緑、そうそう、なんともいえないこういう白い光、
本当にこういう色なんだなあ、、
夜はどうなっちゃうのかなあ−、
夏至をひかえた今は、白夜なんだよなぁー。
ヘルシンキ大聖堂。夕方6時15分くらい。 |
白夜って、眠れないほど明るくて困るのかと思っていたら、
ぜんぜんそんなことはなく、毎晩九時にはしっかり眠くなって眠っていた。
カーテンもあけっぱなしで、たくさんの夢を見た。
ほんとうは白夜というものをしっかり体験したくって一晩中起きていたいくらいの気持ちだったのに、
眠気に勝てずあっさり眠って、ときどき目を覚ましては、近眼の寝ぼけ眼で、
窓の色を見るのが精一杯だった。
白夜といっても、太陽が一晩中沈まないというわけではなくて、
大体22時50分が日没で、3時50分が日の出だったから、
もちろん夜22時過ぎまで昼間のように明るいということには、
毎日レストランを出る度驚くほどだったのだけど、
実際に22時30頃には夕焼けというのも見ることが出来たし、海に沈む太陽も見たのだった。
けれども、沈んだ後すぐに真っ暗になってしまうのではなく、残光というものがあって、
その残光が完全に消えるひまなく、日の出を迎えるので、日本に比べたらずっと明るいというわけだ。
白夜という言葉の通り、闇に一様に下から光が混ざる感じで、闇が白く、
綺麗な透き通った紺にも、紫にも感じたし、
あまりの眠気で起き上がれない私は、
地上の物を、私たちのベッドのずうっと下からやさしく照らしている感じを白夜というのだと思った。
今回の学会を企画してくれた人には本当に感謝する。
6月9日から13日という、こんな白夜の時期だったし、
しかも、6月12日はヘルシンキの日とガイドブックに書いてあって、
何か起こるのではないかとなんとなく楽しみにおもっていたのだ。
(つづく)
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