Sunday 6 April 2008

お茶漬けの味

黒澤明ってどんな人だろうと思ってDVDをいくつかみている。
早くて、リズミカルで、情熱があって、頭が良くってとってもいい。
すっごく刺激されるし、何度でもみたい。

だけど、心の奥の芯に触れて、”ああ、この感触だった”という感じがしたのは
昨日見た小津安二郎の「お茶漬けの味」。

普段、色々な人や、ものを、素敵だな、と思うけれども、
こういう感触に出会うと、あーそうか、魂に本当に触れるときはこういうかんじだったよなあ、と思う。
自分の心も触られて、ああ、あった、心がここに、と気がつくということがあるんだなあ。

小津の映画には、良い人、悪い人というのがない。
東京物語で、おばあさんとおじいさんをひどい目に遭わせる子供たちも、そういうのとは違う。
お茶漬けの味の奥さんも、ひどいことするけど、
私はすっごく、うっ、私もしてる、これを、とおもった。
大好きな人には自分のこと全部受け入れてほしくて、生活スタイルやそういうもので相手を試して、
一度、気に入らないとなれば、口も聞かずに音信不通。(その間に旦那様は出張で外国にいかなきゃならなくなって、いってしまうともしらずに。。)
それは外に見える、愛以外のものを拠り所にしてるから、見えないだけで、
本当は異常なほどの愛をもらってる。
夫婦の間、とか家族とか、身近な話だから派手な良いとか悪いにならない、とかそんなんじゃなくて、
良い悪いだと包容しきれないのだ、生命を。

東京物語での、おじいさんの、おばあさんが亡くなった朝の、”今日も暑うなるぞ”は、
私には耐え難いほどの、生と死の生命への賛歌。

愛が蘇った。

Thursday 3 April 2008

桜花

野澤君の仕切りの素晴らしい花見。
心の底から感謝です。ありがとう。

春の不安と、疲労が、
子供たちの遊ぶ声と葉のない桜に吸い込まれていった。

春は心の膜が薄くなる。神経過敏、心身疲労。
少し長めの休みがほしかった。
しゅわしゅわで透明のシャンパンを飲んで、
装飾のない言葉に触れたかった。
じゃぼんっと何かを浸したかった。

そういえばソメイヨシノは
水を吸った紙のよう。