Saturday 20 October 2012

御伽草子

サントリー美術館で『御伽草子』を見た。
短い短い物語。

例えば。

ある人が、鬼に、女の人を紹介してもらう。
100日間その女の人に手出ししなかったら、彼のものになるという。
でも、彼は80日間で我慢できなくて手を出してしまう。
女の人は、水になって流れていってしまった。














(『長谷雄草子』写真はwikipediaより拝借)

また、例えば。

鼠が人間の女の人と結婚して幸せに暮らしているが、
ある時、鼠だということがばれてしまう。
女の人は出て行って、
鼠の夫は、彼女が残していった一つひとつの物を見て、さめざめと泣く。
















(『鼠草子絵巻』
写真が見つからなかったので、展覧会の図録から。
布団や、鏡や、櫛なんかが一個ずつ描かれてとってもかわいいのだ。)


水になって流れて行ってしまう場面や、
一つひとつの物を目の前に、泣いている場面は、
もう、それだけで良い、というような感じだった。

私は短い物語が好きだ。
人生のとても大切な出来事は、ささやかなほんとに一瞬の出来事であったりするからだ。
長い長い文脈に支えられた一瞬。
一瞬から想像される長い長い文脈というのもあるということだ。

自分の身近な人の。
すぐ側の物語。

繰り返し繰り返し語り継がれて、
ふっと優しく笑ってしまうような、
ふっくらとした姿になった、
短い短い物語。

これを見てから、岩波の御伽草子を買って、手放せない。
「御伽」は「人生のつれづれを慰める話し相手」という意であるらしい。

私は、そういうことをやりたいんだなあ。

3 comments:

Kono said...

80日も待ったのに、、なあ、この人の表情...!なんだかたまらないな。どうして門には鬼がいるんだろう。この絵が目に入った時,あー
”There is also a man.”だと感じられて。
これは見に行かなきゃ。あした行きます。楽しみができた!

Ayako Onzo said...

Konoさん、あわわ、すいません。
長谷雄草子は展示替えになってしまったのですが、
是非いってみてください!!

Kono said...

ひい、そんなー。
でもいいです、いってきます。