Friday 5 August 2016

竿燈祭り残像

七月末ルノワール展で、『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』の前に立っていたら、
小学生くらいの女の子が列の一番前にさっと入ってきてiPhoneを構えた。
あれ?写真撮って良かったんだっけ、と思った瞬間、
彼女はフリック入力で猛烈に文章を書きだした。
そしてまた顔を上げて絵を見ては、また目を落としてフリック入力をする。
この子、心に浮かんだこと、消えないうちにこの場で書き付けてる!
文章でやるスケッチだ・・・。

とってもいいなあ、、と思った。それで8月3日秋田の竿燈祭りでやってみた。


竿燈の下にどんどん竹がつぎたされていってどんどんどんどんたかくなるんです。
どっこいしょー、どっこいしょー、ってかけごえで、永遠にかかげていくんです。
下でささえるひとはひとりだけ。
50キロもある、ろうそく入りの提灯がたくさん付いた竿燈だから、
人が竿燈をコントロールすると言うより、竿燈に人が着いていかなきゃいけない。
一番上の提灯から目だけは絶対にそらさないようにすることでバランスを保つらしいです。
ささえきれなくなりそうになったらすぐ、まわりに人がスタンバイしていて受け渡します。
どうしてそんなに簡単に渡せるのかわからないゆらゆらした高い高い棒なんです。
つまり下の人間はくるくる入れ替わり、うえは稲穂のように高く高くのびてゆれているんです。
ときにその火のどっさり付いた提灯の穂がたおれてくるんです。
人間は、優雅なあひるの水面下の足の動きみたいです。
でも、最後の合図がなるまで入れ替わり、立ち替わり、倒れては起こして、何度でも掲げつづけます。
しなやかにのびる竿燈を支えるには、自然にへんてこな姿勢になります。
むしろ人間はそのへんてこにこそ超絶挑むんです。
おでこだけで支えたり、
ぷりっとおしりを突き出して、腰一点で支えたり、
全く信じられません。
まるで空でも持ち上げるように両腕の関節という関節を90度に曲げて、その体勢はまるでひょっとこです。
だけどその腰一点で支えられられる男の人は、最高にカッコいいのです。
どっこいしょー、どっこいしょ、どっこいしょー、どっこいしょ、永遠に回り続ける人間が、永遠に優雅に伸びた竿燈を支えていました。

資料館で見せて頂いた技。右の鉢巻きのおじさんまで入れ替わる。




























女の人はお囃子によって竿燈を導く

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